芸術・自然・歴史の融合/公益財団法人 本間美術館

公益財団法人 本間美術館Hommna Museum of Art

コラム

加藤忠広公の遺品と伝わる人形《豊太閤》

学芸員:須藤 崇

現在開催中の「雛祭 古典人形展」で展示している白巽文庫(斎藤昌二氏寄贈)の人形の中に《豊太閤》と呼ばれる嵯峨人形があります。

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「豊太閤」、つまりは豊臣秀吉を表した人形で、胸には豊臣家の家紋である桐紋がみられます。しかし、顔の表情は肖像画でみる秀吉像とは違い、どちらかというと徳川家康に似せてつくられているような気がします。

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この人形の制作年代は江戸時代の正徳年間(1711~1716)頃と考られており、まさに江戸幕府を中心とした治世につくられたもので、幕府に配慮した形でつくられた肖像人形の一種だと思われます。

また、この人形は豊臣秀吉の家臣・加藤清正の子・忠広(1601~1653)の伝来の品だといわれています。当時、熊本藩主だった加藤家は、忠広の代に幕府によって改易させられ、寛永9年(1632)庄内の丸岡に配流となりました。そのため、庄内には加藤家ゆかりの品々が伝わっており、本間美術館にも加藤清正や忠広の書などが収蔵されています。


人形の箱に貼られた白巽文庫のシールにも「加藤忠廣公 遺品 豊太閤像 丸岡屋形伝来」とありますが、この人形が制作されたときにはすでに忠広は亡くなっているため、忠広伝来の品ではないと思われます。忠広を慕う人々によってつくられた伝承なのかもしれませんね。

2016.03.16


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