芸術・自然・歴史の融合/公益財団法人 本間美術館

公益財団法人 本間美術館Hommna Museum of Art

コラム

坐禅会で掛けられる普賢・文殊菩薩像と出山釈迦図

学芸員:阿部 誠司

開催中の展覧会「祈りの芸術」より、
酒田・正徳寺に伝わる≪普賢・文殊菩薩像≫と≪出山釈迦図≫をご紹介します。

 

正徳寺 普賢菩薩  正徳寺 文殊菩薩  普賢・文殊菩薩像  江戸時代

普賢菩薩(ふげんぼさつ)と文殊菩薩(もんじゅぼさつ)は共に釈迦如来(しゃかにょらい)の脇待をつとめ、
一般的に、左(向かって右)に文殊菩薩、右(向かって左)に普賢菩薩を配します。

 

 

悟りと救済の普賢菩薩

正徳寺 普賢菩薩 

普賢菩薩は、仏の慈悲と理知をあらわし衆生を救う賢者です。
仏法を行い修行する姿で表され、合掌して白象に乗り、蓮華や経典を手に持つ姿が一般的です。
平安中期以降、女性の救済を説く法華経の普及によって、特に女性の信仰を集めました。

 

智慧の文殊菩薩

正徳寺 文殊菩薩

実在する釈迦の高弟と言われ、経典の中で現実的な姿から徐々に神格化されていきました。
仏像では獅子に乗っていることが多く、
右手に智慧(ちえ)を象徴する宝剣、左手に経典を乗せた青蓮華を持ちます。
「智慧」とは、自己中心の煩悩である分別心を取り去って、もののあり方を正しく見る能力です。
現代では本来悟りを得るための智慧の延長として、文殊菩薩は一般的な知恵の象徴となっています。

 

 

正徳寺での祀り方

正徳寺は曹洞宗の寺院で、寺伝によれば長禄2年(1458)に本寺・海晏寺の第3世正全が創始したと言います。
禅宗の一派である曹洞宗の正徳寺では、
12月に行われる坐禅会で普賢菩薩と文殊菩薩の間に≪出山釈迦図(しゅっさんしゃかず)≫を掛けています。

DSC04691

 

禅宗に好まれる苦行の釈迦図

DSC04174  出山釈迦図  江戸時代

やつれた風貌に表された本図は、特に禅宗において好まれた出山釈迦(苦行釈迦)の像です。
6年間の苦行を試みたが、肉体を苛むことの無益さに気付き山を出た釈迦を描いており、
この時点では悟りを開いていません。
しかし、白毫(びゃくごう)・肉髻(にっけい)・頭光(ずこう)など、仏としての形も部分的ながら表されており、
釈迦がもはや通常の人間ではないことを暗示しています。

正徳寺では本図を中心に普賢・文殊菩薩像を配し、「釈迦三尊像」として掛けられています。

 

 

2016.07.22


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