コラム

虎描きの名手 円山応挙と岸駒
学芸員:須藤 崇
十八世紀後半の京都画壇を代表する画家・円山応挙(1733~1795)の得意な画題のひとつに「虎」があります。当時は、実物の虎をみることができなかったため、虎の毛皮を入手して研究し、猫をモデルにして描いたといわれています。独特のスタイルで描かれる虎の絵は多大な人気を得て、応挙は虎描きの名手として名を馳せました。
その応挙が虎の毛皮を実見して描いたとされるのが《虎皮写生図》です。
毛皮を実物大に写し、各部の寸法を記した記録、豹の毛皮の写生、丸々とした愛嬌のある小さな虎の絵とともに、二曲一隻の屏風に貼られており、貼りきれなかった後足と尾の部分は裏側に貼られています。
応挙の亡き後、虎描きの名手として名を馳せたのが岸駒(1749?~1838)です。本物の虎を描こうと追求した岸駒は、毛皮だけではなく、商人から虎の頭骨や四本の足を入手し、実際の虎の形状を計測して、様々な角度から写生したと伝えられています。
愛嬌のある応挙の虎とは対照的に、この《猛虎図》のような猛々しい虎を岸駒は描いていますが、その虎は応挙以上のリアリティーを持っています。
応挙と岸駒の描いた全く異なる虎の絵、皆さんはどちらの虎の絵に興味を持ちましたか?
※円山応挙筆《虎皮写生図》と岸駒筆《猛虎図》は、現在開催中の企画展「円山応挙と京都画壇」で展示しております。
2016.04.11
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